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難治性Buerger病に対する血管再生医療

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2019.5.30

バージャー病(ビュルガー病)は、特に下肢の末梢動脈に閉塞性の内膜炎を起こし易く、四肢の末梢部に激しい痛みや皮膚の潰瘍や壊疽などの重篤な症状で苦しむ症例もあり、指や手足の切断を余儀なくされる場合もあります。そんな患者さんに対し、それらの症状の防止を目的として、“自己幹細胞移植による血管再生療法”が全国で進められ、成果を挙げているのでご紹介いたします。

幹細胞とは

血管はいろんな種類の細胞によって構成され、古くなった細胞が新しい細胞に置き換わることで維持されています。基本的には付近の細胞が細胞分裂によって、新しい細胞を生み出すのですが、それ以外に、いろんな細胞に分化出来る“幹細胞”からも、血管を構成する細胞を作ることが可能なのです。

骨髄の幹細胞とは

骨の中にある柔組織の骨髄にはいろんな細胞があり、主に赤血球や白血球、血小板などの血液細胞を作りますが、その他にもいろんな能力を持った細胞があります。その中の一つの骨髄幹細胞は他の骨髄細胞より、特定の物に分化する程度が低いので、それだけいろんな細胞に変化できる性質があります。血流の悪い筋肉などでは血管内皮細胞と呼ばれる血管の一番内側の細胞に変化する能力があります。だから、バージャー病の患者さんの筋肉に注射すると、骨髄幹細胞が血管の内皮細胞となって、新しく血管を作ると考えられています。また、血管の枠組み作りの細胞も含まれるので、血管の支持細胞になると考えられています。その上、ホルモンの一種である血管増殖因子を分泌する細胞もあり、これによっても、血管新生が促進されます。このように骨髄中のいろんな細胞が共同して、血流不足の手足の筋肉内で血管を新しく作ると考えられています。

自己骨髄幹細胞を用いた血管再生療法の手順

① 骨髄細胞の採取

通常の骨髄移植の時に行われる方法と同じく、全身麻酔の下、標準800ml程度の骨髄を約2時間かけて、採取します。採取した幹細胞を培養する場合では、全身麻酔は必要なく、標準30~40ml程度の採血で済みます。

② 細胞の分離・(培養)

通常の骨髄移植で用いられる機械を使って、骨髄細胞の中で、血管新生に関係のない赤血球などの細胞を分離し、血管などになる細胞を2時間程度かけて取り出します。培養する場合は、取り出した細胞をCO2インキュベーターという培養器内で幹細胞を増やします。

③ 筋肉注射

分離・(培養)した細胞を患肢の筋肉に注射します。上腕や下肢のヒラメ筋、誹腹筋(ふくらはぎの筋肉)には1ヶ所につき0.5mlずつ、手や足の裏、甲には0.2mlずつ筋肉の中に注射します。合計数十箇所に注射を行うので、痛み軽減のために全身麻酔で行うこともあります。注射自体は1時間程度ですが、全身麻酔など、その他諸々合計すれば6時間程度はかかるでしょう。

治療の効果

骨髄幹細胞や支持細胞、血管増殖因子分泌細胞などが協力して、虚血部位で血管新生を行います。移植後は、血流改善、痛みの軽減や消失、潰瘍の治癒などが報告され、それに伴って手足の切断を免れることが多くなっています。自己幹細胞による血管新生療法はまだ、全ての患者さんに十分な効果があるかは明らかになっていません。ただ、慢性動脈閉塞性に比べて、バージャー病の患者さんには症状改善が良好であると報告されています。

今後予期せぬ重篤な副作用が現れる可能性は否定できませんが,現在のところ、問題となるような副作用は報告されていないので、今後、難治性バージャー病治療の標準的な治療法になると期待されます。

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